株主重視の経営、ねぇ

最近は下火ですが、ライブドアが世間をにぎわしていた頃には「株主重視の経営」か、「従業員重視の経営」か、あるいは顧客や取引先等もっと広くひっくるめて「ステークホルダー(利害関係者)重視の経営だ」なんて論争がよくありましたね。kanedoみたいな若い世代で自由主義的な人の多くは、株主重視の経営が高支持率のようで、これはkanedoも多くの場合について同意している一方、ちょっと思う所もあります(´・ω・)


kanedoが思うに、誰の利害を重視するかと言う話は、株主重視の経営にしたから利益が出るとか、株主重視の経営にしたから日本企業が世界で復活するとか、そういう類のものではありません。現状の閉塞感に対する万能の処方箋であるかのように扱うのはどうなのだろうか(´・ω・)


確かに、株主を重視することには派生的な経営上のメリット(ここでは企業が利益を上げる上でプラスになる点、と定義する)があります。まず、株主に対して利益を多く分け与えれば、株主から資金が集めやすくなるでしょう。また、例えば人員過剰が企業の利益を圧迫している時にリストラで費用を削減することは、従業員の利益重視を打ち出してる企業では難しいかもしれません。変化に対応するために何十年も続いてきたビジネスモデルを大きく転換する際にも、過去のしがらみより利益と合理性を重視する投資家の視点で経営を行った方がおそらく有利でしょう。しかし、短期的な利益を重視するあまり長期的な企業価値を毀損する可能性や、優秀な従業員を流出させてしまう可能性といったデメリットも考えられ、損得勘定だけに話を絞っても、どちらが望ましいかは企業の抱える問題によって異なります。結局、企業の処方箋を考えるには、まずその原因となっているボトルネックは何で、どのように解決しうるかという考察が先で、誰を重視して経営するかというのはもっと後の手段のレベルで考えることなのでしょう(´・ω・)


個人的には、資金調達がきちんとできて、既存株主が納得しているなら、誰のための経営をするかというのは、経営者が「どんな企業にしたいか」という自身のビジョンに合わせて決めればいいと思います。もちろん、その経営者を任命するのが株主総会だというのは忘れるべきでないですが。投資家が企業を選ぶように、企業だって投資家を選べばよい。「言うこと聞くからとにかく誰でも金を出してくれ」という方針より「見返りは払うから、我々の夢に投資してほしい」という方針を好むのは、まだまだ青臭いのですかねぇ(´・ω・)