就活の気になる表現、気になる行動

就活をしていると、就活以外ではあまり使わなそうな独特かつ日本語として違和感のある言い回しが使われているのをよく耳にします。おそらく、就活マニュアル的な本やセミナーで紹介されていたり、それを他の人が真似しているのでしょう。その中でも頻度や違和感の強いいくつかをピックアップしました。もっとたくさんたまったらwikiにできそうな内容なので、コメント欄でバリエーションを書いてくれると嬉しいかも。「こんな変な奴がいた」でなく、みんな普通に言ってるやってるけどよく考えると不自然というのが望ましい(´・ω・)

ちなみに、どれも別に使ったから落ちるとかいう類のものではないと思うけど、審美的な理由(あるいは意地っ張り)からkanedoは使わないように気をつけてました。実際的なメリットがあるかは知らないけど、日本語の使い方にこだわりがある人や「就活本とセミナーでばっちり対策してきたよえらいでしょ」ってオーラを出したくない人などは参考にしてください(´・ω・)


●貴重なお話ありがとうございました。〜大学の…と申します。

 第一に、OB訪問等で自分のために時間を割いて頂いたなら当然言うべきですが、説明会等でも毎回毎回多くの質問者が貴重なお話に感謝することで、貴重な質問時間が浪費されています。第二に、完全に定型文化しているので、質問者の表情に感謝の気持ちが1mmもあらわれていないし、万一本当に感謝の気持ちがあってもスルーされてしまうでしょう。彼ら彼女らはそれが礼儀だと思っているのかもしれませんが、相手を多少なりイライラさせる礼儀は礼儀とは言いません。第三に、ESもまだ通過してない学生数百人が出る説明会において、質問者の名前を採用担当がいちいちチェックして差をつけてるとは思えません(GDとか懇親会とか、もっと少人数なら別)。kanedoは例え前の質問者が三人中三人当該発言を使用したとしても、それをなぞらずいきなり質問に入ることにしていました。


●御社の〜と〜について、質問が二つあります。一つは…(長文)、もう一つは…(長文)

 ひたすらに長いです。時間はあなただけのもんじゃありません。あと、答えてる人大体一個目答えてる間に二個目忘れてます。質問が込み入っている場合に前置きを使うのはいいと思いますが(戦略について…とか、人の魅力について…とか、)質問は一つずつ、簡潔にしましょう。あと、質問中に「私はこうこうこうだと思うのですが…」と自説を展開するのもあまり褒められた行為ではない気がします。


●御社

 この言葉使わなかったなぁ。これって非常に畏まり度の高い敬語だと思うのですが、畏まり度がそんなに高くない普通の敬語で喋っている人の言葉にポツンと混じっていたりして違和感を感じます。例えばkanedoという化粧品のメーカーかなんかがあったとしたら、その企業のESで言及する時は「kanedoの…」、面接等では「kanedoさんの…」と言っていました。唯一使ったのは、ESでどうしてもあとちょっと文字数を減らさなければいけなかった時。


●(GDなどで)〜さんの意見はとても良いと思います/思うのですが

 名前覚えてるアピール及び人の意見聞いてるアピールがややきもいです。こういうのをやるかどうかの判断は、日常場面における会話や議論で使った時に不自然かどうかで決めることをおすすめします。例えば音楽サークルでライブの会場をどこにしようかみたいな議論をしてる時、人の意見をぶった切る前に根拠の中の良い部分は認めて生かしていく、というのは有益ですが、「〜さんの意見はとても良いと思います」って言ったらどういう空気になるだろうか。


●〜としましては

例文:志望動機としましては…、この費用としましては…

 「志望動機は…」じゃだめなのでしょうか。日本語としてやや違和感を感じます。広く見られるので、就活言葉を「しましては語」と名付けてもよいと思います。まぁこれも多分もともとは、畏まり度が高い敬語なんですよね。


●御社の志望理由は、人の魅力です
 どんな企業の志望動機にもできる、非常に便利な言葉ですが、この言葉自体は特に何も言っていません。人の魅力が志望動機になるのはごく当たり前のことですし、kanedoもそうなので積極的に言っていますが、「人の魅力」という言い回しをする場合にはどういう場で社員さんと接した時に何が魅力だと感じたのか、具体的な言葉を準備しておくといい気がします。


●社会貢献
 100回くらい聞いたけど、何を指すのかはいまだによくわかりません。人の魅力と同様、使うなら具体化が必要ですね。


win-win
 ういーんういーん。大事な概念ですが微妙に古いので別の言い回しを。
http://www.lovecosmetic.jp/shop/category/loter.html


●(テクニック)無根拠副詞
 「このビジネスの潜在顧客は、非常に多いのではないかと思います」みたいな感じで、定量的な根拠を示さずに副詞によって持論を強化する技。主に私大学部生の一部に見られます。ややみっともない。凄い奴だと、以下のような荒業をこなす。実話。

学生「こういう理由からAが良いのではないかと思います」
社員「しかし(Aと相容れない)Bという選択肢もあるのではないでしょうか」
学生「(しまった気付かなかった)そういう考えもあると思いますが、やはり、こういう理由から(前と同じ内容)Aが非常に良いのではないかと思います。」
kanedo「(良さを強調することで反論を押し返した(´・ω・)!)」


●(テクニック)一点集中突破
 一つの活動、あるいは一つのエピソードから、志望動機、強み、成功や挫折の体験など全てを(時に強引に)引き出す技。一部体育会系、またまれに理系院生に見られます。ちなみにkanedoも海外インターンシップ等をかなり様々な質問に生かしてましたが、一度の面接で3回も4回も同じことを使うのは避けてます。kanedoが見たこの系統の大技は、

学生「私は大学で月の石の研究をしています。(中略)よって私はトレーダーを志望します」

他の質問に対する回答も根拠は全て月の石。具体的にどんな研究かは忘れましたが、ピッピでも進化させるのでしょうか。


●(テクニック)名刺配り
 賛否分かれます。kanedoはしませんでした。なぜなら、もらうと家に置き場がなくてうざいので(結局社員さんと、顔も名前も知ってるごく親しい人のだけ残してる)、自分がやられて嫌なことは人にしないようにしようと感じたからです。わぁ道徳的。あと、「なんか変に就活慣れしてる感じの就活生」という風に見られたくなかったというのもあるというか、むしろそちらがメイン。


★まとめ
 昔こんな記事で強調しましたが、自分の取る行動によって相手は自分に関する情報を得ます。自分がどんなシグナルを送っているか、つまり「自分のこの発言/行動によって相手はどういう気持ちになるだろうか、自分をどういう人と見なすだろうか」、また、「自分はどういう印象を相手に与えたいだろうか。自分のとっている行動はその目標と合っているだろうか」ということは、常に意識するといいかもしれません。例えそれが偉そうな文面やシュールなブログのタイトルであっても、意図があるかもしれない。嘘。ないっぽい(´・ω・)
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20090523/1243082905


★あんまり関係ないけど思うこと
 最近アクセス数が前の3倍くらいに増えた気がします。「外資コンサル内定者の就活指南ブログ〜自己実現成長人脈リーダーシップタイムマネージメント自己変革人生の目標努力自分を見つめ直すフレームワークスケールの大きい仕事人間力充実した人生セックスするだけでお金がもらえる〜」みたいな釣りタイトルにすると、ひょっとしたらアクセスが増えるのかもしれないけど、現状のタイトルが結構気にいっているし、そういうブログを見たい人が見たいものを提供できない気がするのでしません(´・ω・)