これから大学に入学する新入生のために

<まえがき>

4月から大学に入学することが決まった皆さん、おめでとうございます。皆さんは今後の4年間を、勉強や研究、部活やサークル、課外活動、アルバイトやインターン、趣味、恋愛、その他色々、何にでも使うことができますし、何に使うかを自分で決めることができます。また、この4年間をどのように使ったかは、卒業後の長い人生にも決定的な影響を与えることでしょう。大学新入生の前には、本当に広い可能性が広がっています。


しかし現状を見る限り、多くの大学生が入学早々、自分の可能性を自ら狭めているように僕には思えます。特に目につくのが、以下の二つのパターンです。

・勉強することを放棄してしまう

・一つの部活やバイトに強く拘束され、それを大学生活の大半にしてしまう


残念なことに、大学生活の最初に上級生から入ってくる情報は、右も左もわからない新入生をこの二つへと誘導するかなりタチの悪いものである場合が多いです。これは体育会系の新歓(新入生歓迎活動ないし新入生勧誘活動)と、「上クラ」「オリター」と呼ばれる、2年生が新入生に対し大学生活についてのガイダンスを行う制度に大きな原因があるのですが、彼らだって悪意を持ってやっているわけではありません。ただ、彼らとタイプの違う上級生の意見も聞くことは、自分がどうやって今後4年間の大学生活を送るか決める上で、極めて有用でしょう。


この記事は、大学新入生のみなさんに向けて、大学4年の変わった上級生が送るアドバイスです。新入生が、不十分で偏った情報に基づいて、今後を左右する重要な決定を行ってしまっている現状への危機感から書きました。この記事をきっかけに、一人でも多くの人に、「勉強も案外楽しいかも」「外の世界に出てみるの楽しいかも」と思ってもらうきっかけになればと思っています。


自己紹介を一応しておくと、僕は4月から4年になる一橋大学商学部の学生です。中高は筑波大学附属駒場という国立校。勉強はわりと好きで、特に経済学、経営学、国際関係、政治学現代思想あたりはよく本を読んでいますが、大学入学後は他にもバンドやったりアカペラやったり国内や海外でインターンしたりと色々やってきました。卒業後は外資系の戦略コンサルティングファームに就職します。戦略コンサルティングというのは、企業がより多くの利益を生むように経営戦略を立てたり、組織を改善するサポートを行うお仕事です。現在は仕事に備えて英語を勉強したり、本を読んだり、ベンチャー企業でwebプログラマーとしてインターンを始めたり、バンドやったり、家でゲームしたりしています。


もちろん僕の意見も、数ある意見の一つでしかありません。他にも色々な先輩や社会人の方に話を聞いて、十分な情報を持った上で自分の大学生活をデザインしてください。



<本文>

僕の主張は、以下のことをやってほしいというものです。


○高校までの勉強と、大学以降の勉強の違いを認識しよう

○「反知性主義」を優しく拒否しよう

○とにかく本を読もう

○どんどん「外」に出よう

○自分の将来について常に思考しよう

○各種補助を有効活用しよう

このアドバイスのもとになっている僕のスタンスを簡単にまとめると、「勉強する。外に出る。そうして視野を広げて、楽しく生きる」といった感じです。では本編をどうぞ。リンク先に目を通したり紹介している本を読むと、より多くのものが得られると思います。面白そうな本があったらクリックしてamazonで買ってくれると、僕がほんの少しもうかります(´・ω・)



○高校までの勉強と、大学以降の勉強の違いを認識しよう

小学校、中学校、高校まで学校で教わる勉強と大学の勉強には、根本的な違いがあります。それは、「大学での勉強は、基本的に受験を目的としていない」ということ。中学受験のための小学校の勉強や、大学受験のための中高の勉強とは異なり、大学での勉強には単位認定のための期末試験はあっても、勉強の集大成としての入学試験はない場合が多いです(注1)。結果、今まで受験での成功を目的として勉強してきた学生は、大学入学と同時に大きな思考の転換をする必要に迫られることになります。学生の中には、この変化に気付かず、「大学の勉強は、社会に出て役立たない」といった言葉を吹きこまれて、早々に勉強することを放棄する人が少なくありません。で、後で後悔したりする。


「勉強が役立つか否か」という問題を考えるときに、それを「将来従事するであろう仕事の内容と直接関係あるか」という問いに置き換えてしまうのは、「試験を目的とする勉強」を十年近く行って形成されたバランスの悪い勉強観に基づく、有害な間違いではないでしょうか。


例え受験や仕事で使わないとしても、勉強をすることにはなお大きなメリットがあります。まず、何かの学問を体系的に学ぶことで身につく、基礎的な論理力や問題解決力、ものを考える際の方法論は、仕事に限らず日常のあらゆる意思決定や活動に役立つでしょう。また、勉強による視野や可能な選択肢の広がりは、「幸せに、生きたいように生きる」という、より上位の目的に貢献します。そして勉強自体も、コツを掴めば趣味として成立しうる楽しいものです。このような面において、日常的に頭を使っている人と、頭を使うことを放棄してしまった人には、大学4年間の間に絶望的な差がつくことでしょう。今まで受験のための勉強しかしてこなかった方も、例えば何かの本やこの記事をきっかけにして、受験のためでない勉強を楽しむマインドを持ってくれれば嬉しいなぁと思います。きっとその人にとっても長期的な利益になるでしょう。


注1:もちろん、大学院入試や資格試験の合格を目指して大学で勉強する人もいますし、入学試験と関係ない内容を自主的に勉強する小学生/中学生/高校生も多いので、例外は多々あります。<参考>
オススメするゼミ選択の方法
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20100128/1264622745
池尾和人先生のコメントに注目。



○「反知性主義」を優しく拒否しよう

前述の内容を深く心に刻み込んだうえで、
「勉強なんてつまんない」
「勉強するよりバイトしたり部活したほうがいい」
「大学の勉強なんて社会に出て役に立たない」
「大学生活では何かひとつのことにとことん打ち込むべきである」
「知識を身につけ論理的な思考をするより、他者の顔色を見てうまく合わせるほうが重要」
という先輩の助言を、「なるほど〜」とか言いながらにこやかに聞き流しましょう。周りが勉強してないからといって、あなたが勉強しちゃいけないということはありません。大学生活について相談するのであれば、部活のパンフ持って勝手に寄ってきて「人生の先輩」面したがる大二病の上級生ではなく、あなたがこれからの大学生活で何をしたいのかについて真摯に話を聞いてくれる、しっかりした上級生を探して相談することを、僕としてはおすすめします。しかしこれについては、あまり露骨にやると友達が減るので、それが気になる人は注意してください。

RT @jun_blueeyes街中の看板に、 『学ぶヒマがないという人は、ヒマがあっても学びはしない。』と書いてあった。同感。


<参考>
反知性主義には、個人で、日本で十分対抗できる
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20100117/1263728321
参考と言うかそのまんま。

なぜ私は親鸞会をやめたのか-about Cult and Mind-Control
http://shinrankai.hp.infoseek.co.jp/material.html
「必殺育成法」が凄い。普通に勉強になった。どの大学でも多くの部活、団体が多かれ少なかれ似たようなことをするので、じっくり読んであらかじめ知っておくといいと思います。「カルトなんて引っ掛かる方が悪い。自分は大丈夫」などとゆめゆめ思わないよう…


○とにかく本を読もう


 勉強することやことや考えることの意義を説明した所で、次は「何を学ぶべきか、どう学ぶべきか?」という部分について書きたいと思います。もちろん、自らの知的好奇心に従って、自主的に授業を履修したり大学図書館で本を借りて勉強してくれればそれが一番ですが、一応の方向づけと言うか、「学部に関わらず、これを学ぶのは絶対有益!」と僕が思うものをご紹介します。ちなみに僕の場合、日経新聞The Economist(イギリスの経済紙。面白いし定期購読すれば学割がきくので、経済を学ぶ人はぜひ)を購読している他、年に70〜80冊の本を分野問わず読みますが、多読は特に意識しておらず、通学時間が長いので自然と読む本が増えていった感じです。


●オススメの分野1:現代思想

「思想を学ぶ」というと、高校の倫理のようなものを想像するかもしれませんが、そうではありません。ここで目指す内容は、「当たり前とされていることに疑問を持ったり、その背後にある前提や構造を見抜き、世の中を冷静に見る目を身につけること」です。これはどんな分野を学び、どんな道に進むとしても役に立ちます。


 今すぐ読める入門としては、このwebサイト(黒とつ)がいいのではないでしょうか。「神話から現実へ!」「勘違いしたブスにむかつかなくなるまで」あたりをじっくり読んでみてください。


その次は、このような現代思想に関連する新書を読んで、20世紀的な考え方の全体像を少しずつ掴むといいでしょう。

術語集―気になることば (岩波新書)

術語集―気になることば (岩波新書)

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))


やる気のある人は、ニーチェフーコーの訳書にトライしてみてもいいかもしれません。


ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)

ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)


また現代を理解する上で、西洋近代とはどのような考え方が強い時代であったかを知ることも不可欠です。僕が好きな本はこれ。


思想としての“共和国”―日本のデモクラシーのために

思想としての“共和国”―日本のデモクラシーのために


あとは、アンテナを高くして興味のままに本を読んでいけばOKだと思います。また、みなさんがこれから自然科学なり社会科学なりを学ぶにあたって、「そもそも『科学』とは何か?」「科学には何ができて、何ができないのか?」というようなテーマを扱った、科学哲学の入門書を1〜2冊読んでみると有益かもしれません。僕はこの本を読みました。


科学哲学入門―知の形而上学

科学哲学入門―知の形而上学


●オススメの分野2:経済学

 kanedoは商学部生ですが、専門は経済学に近い部分です。経済学の基本的な知識を身につけることは、みなさんが文系か理系かに関わらず、非常に有益で楽しいことであると僕は思っています。経済学ほど、経済学を学んだことのない人から偏見を持たれている学問もなかなかないと思いますが、経済学を学ぶことで、実際の経済、社会、あるいはより広範な人間活動について考えるための、一つの軸あるいは視点を得ることができます。


 経済学は、一言で言うと「人間の意思決定とその結果について、それらをモデル化することで分析する学問」です。その分析対象は、企業の営利活動や国家の経済活動に限りません。また経済学は「数学をゴチャゴチャと使う難しい学問」と思われて、経済学部を除く文系の学生から避けられる傾向がありますが、経済学の基本的なロジックは、四則演算がわかれば結構理解できます。もちろんわかりやすく書かれた教科書の背後には、もっと複雑で綿密な体系があるのですが、少なくとも経済学研究の道に進むのでなければ、数学ができないからといって経済学を嫌う必要は全くありません。


どういう本をまず読むといいかについては、この記事にまとめてありますので、そちらをどうぞ。どれもハードカバーで高いので基本的には借りて読めばいいと思いますが、マンキュー入門経済学は文理問わず、買って熟読することを強くオススメします。

マンキュー入門経済学

マンキュー入門経済学


●オススメの分野3:会計(を中心とする経営学

 会計を学ぶここでの主な目的は、「『企業』とは何をやっているのか」を外から理解することです。日本には250万社を超える法人企業があり(注1)、いわゆる「東証一部上場」の企業だけでも1600社位あります。我々が行う活動の多くに様々な企業が関わっており、社会や経済について考察する上で、企業の基本言語である「会計」を抜きにはできません。新書等を取っ掛かりにして会計を少し学んだあとで、ビジネスの他の分野(マーケティング、経営戦略、人事、財務等々)について本を読むと理解がスムーズになるでしょう。


例えば、簿記二級(0からでも2〜3ヶ月勉強すれば取れます)レベルの会計を理解すると、自分で企業の財務諸表(企業の業績や経済状態を要約した表のようなもの)を読んで大雑把に分析できるようになります。後で述べるように、この記事を読んでいる大学新入生の大半は学部3年で、あるいは大学院1年あたりで、将来の職業を決める「就職活動(就活)」に早くも参加することになるのですが、就職活動の時に財務諸表が読めないと、「この企業はどのようなビジネスモデルを持っているのか?」「この企業は将来大丈夫だろうか?」などとと考えて意思決定をするにあたり、新聞記事や学生の噂に頼るしかなくなります。日本語しかできないのに海外旅行して現地で結婚相手決める感じ。財務諸表が理解できれば、その企業の置かれている状態について、それらの情報を参考にしつつも自分で判断することが可能になります。また就職活動に関係ない場でも、会計を通してお金に関するセンスを身につけることは、日常生活からサークル活動の予算作りまでなにかと有益でしょう。


 会計については、時間と興味があったり外資系企業を目指す場合は簿記2級の勉強をするとよいですが、最近は社会人向けの会計入門書が新書でいくらでも出ています。そうした本を読めば、簿記の資格がなくても簡単な財務諸表分析やビジネス分析ができるので十分だと思います。ただ経済経営系の人が財務諸表読めないと恥ずかしい気がするので、そのあたりの人はちゃんとやりましょう(特に経済学部に多いですが、現実の経済には興味ありませんってカミングアウトしているようなものですよ)。

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)

財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)


 ビジネスについて考える上では、その他にも経営学の基本を学んでみると面白いのですが、経営学は会計以外にもマーケティング、事業戦略、財務、ガバナンス、様々な分野があり、全体を一冊で網羅する本がなかなかありません。とりあえずは、日経新聞の1面、経済面、企業面、投資・財務面あたりから面白そうな記事を、わからない用語をgoogle検索しながら読むことをおすすめします。より体系的に学んでみたい方は、以下のような本を読んでみるといいかもしれません。

わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)

わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)

改訂3版 グロービスMBAマーケティング

改訂3版 グロービスMBAマーケティング

基礎コース 経営学

基礎コース 経営学

コーポレート ファイナンス(第8版) 上

コーポレート ファイナンス(第8版) 上

  • 作者: リチャード・ブリーリー,スチュワート・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井眞理子,国枝繁樹
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2007/03/15
  • メディア: 単行本
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以上、どんな学生が学んでも有益な3つの分野について紹介してきましたが、これ以外にも面白い分野は無限にあります。授業や大学図書館といったインフラを最大限活用して、色々と勉強してみてください。多くの読書によって得られた知識や思考は、「就活に有利になる」といった狭い目的を超えて、きっとみなさんの人生を豊かにするでしょう。


注1:統計局webサイトより<参考>
学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる
http://fukui.livedoor.biz/archives/2130436.html
分野が見事に被っていますが、パクったわけではありません。kanedoよりずっと経験豊かな方の書いた記事ですので、参考にしてみてください。


とつげき東北HP
http://www.interq.or.jp/snake/totugeki/
中高時代のkanedoに影響を与え、今は飲み友達で、オススメその1で紹介した黒とつ(画面右上の「嫌し系」)の作者。「名言と愚行に関するwiki」を読んで暇つぶしをしよう。


商学部生への経済学のススメ
http://obata.misc.hit-u.ac.jp/~itoh/ronso0404.html
僕の指導教官が商学部生向けに書いた文章。経済経営系の学生必読。「経済学ってどんな学問?」「経済学と経営学って何が違うの?」という話。


ネットに時間を使いすぎると人生が破壊される。人生を根底から豊かで納得のいくものにしてくれる良書25冊を紹介
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20081118/
良書の紹介記事。id: fromdusktildawn氏の記事はどれも凄くクオリティが高いので、どんどん読んでみてください。


わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
http://dain.cocolog-nifty.com/
「何を読めばいいんだろう…」と迷ったら、まずはここのページ右下「100冊シリーズ」から探すとハズレが無いと思います。



○どんどん「外」に出よう

 皆さんはこれからどこかの大学に所属し、クラス、部活やサークル、バイト先といった組織ないし集団に参加することでしょう。それらの大学や組織はそれぞれ素晴らしいものだと予想しますが、僕としては皆さんに、一つの場所に縛られることなく、どんどん『外』に出て、新しい人間関係を模索し続けてほしいです。以下で理由を説明します。


 全てのコミュニティは、それぞれ「集団のカラー」のようなものを持っています。大学、部活、企業、ネットの自由な集まりなど、どんな組織ないし集団でも、多かれ少なかれあります。これは集団の活動にとどまらず、所属している人の性格やものの考え方など様々な所に現れてきます。そして、集団に所属してその集団の人達と時間を共有するうちに、自分の考え方も自然と影響を受けてくるのですが、集団の内部にいると自分の変化に案外気付かないものです。これが結構怖いことで、多くの人はふと気がつけば良くも悪くもその集団/組織の価値観に染まっているわけですね。どんなに多様な人を集めたり、色々な活動をしている組織であっても、組織である以上ある程度視野は狭くならざるをえないと僕は思っています。例えば、「活動の場を国際社会に定め、いかなる政治思想からも自由で独立した非営利組織」の人達が、みんな同じような視点でものを見てたりする。自由及び独立どこいった。この限界を個人としてできる限り広げるためには、様々な集団の考え方を経験するしかないのではないでしょうか。


 僕は、おそらく大学4年生としては、比較的多くのコミュニティに属したり関わってきた方です(注1)。今まで僕が生きてきた中で得た様々なものの見方、考え方、専門的知識の大半は、座学だけではなく、様々なコミュニティの持つ価値観を肌で感じ、比較し、統合し、自分の価値観を作っていくことで獲得され、また、より洗練されてきました。「視野の広さ」と一般に呼ばれるような能力を得る上で、様々なコミュニティを渡り歩いたり、恒常的に様々なタイプの人と会うことは欠かせません。学生として成績優秀であったり、高い専門的能力を持った人が、別の部分(人付き合い、交渉、恋愛、就職活動等々)で損を被る理由の多くは、閉じこもっていることによる世界の狭さ、世慣れ不足に起因します。なるべく広い世界を見て、今の自分と比較することは、それ自体非常に楽しいことですし、将来的にもプラスになります。大学の外、サークルの外、日本の外にどんどん出て、新しいコミュニティを開拓しましょう。よかったら学内や部内に引きこもっている同輩先輩も連れてってあげてください。


ちなみにここでいう「『外』に出る」とは、普段の生活サイクルで接する部分(大学、サークル、バイト等々)以外の人間関係に参加することを指しており、必ずしも物理的な外出である必要はありません。twitterでの議論に参加したり、ネットで知り合った仲間とスカイプ会議通話をすることもこの意味で十分に有意義です。そこからオフ会などのよりリアルな関係につなげていけば、得られるものもより大きくなるでしょう。行動力のある学生や社会人でも、ネットのツールや人間関係を活用できている人は少ないように周りを見て感じられますが、ネットを活用すれば大きな具体的メリットを得られます。


注1:一例…小学校〜大学のクラスや学部、塾、中学のブラスバンド、中国拳法道場の人達、筑駒Jugglersの人達、高校バンド、合気道道場の人達、東大の軽音サークル、一橋のジャズ研、一橋のアカペラサークル、AIESEC、研修で出会ったトルコの人達、ネタボケ企画の人達、FreedomSNSの人達、「名言と愚行wiki」参加者達、インターン等で知り合った企業/他大の方々 等々<参考>
リアルとネットの不適切な二分法がもたらすチャンスロス
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20100201/1264973839
ネットを活用して豊かな人脈を築く方法についての考察。


体育会系苦手だけど、文化系ばっかじゃ組織がまわらん
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20091229/1262015117
どんな組織にあっても抑圧されない健全な欲を持ち続けることが大切。


就活で大事な気が個人的にすること
http://d.hatena.ne.jp/kanedo/20100308/1267982229
外に出るのに便利な社交術入門。就活に限りません。



○自分の将来について常に思考しよう

 大学生活4年間を過ごした後、文系では大半の学生が就職することになります。理系でも、大学院でもう2年間を過ごした後で就職する学生がほとんどです。新卒偏重で転職や中途採用の市場がまだまだ小さい日本において、最初にどこの企業に就職するかというのはその後40年近いキャリアに重大な影響を与える問題であり、大学で過ごす上で、「自分は将来どのような仕事について過ごそうか?」と1年次から考えることは大切です。


しかし現実には、多くの大学生が何も考えずに2年以上を過ごし、3年の秋ごろに慌てて「就活」に参加し始めるというのが現実です。これはよく考えるまでもなくおかしなことではないでしょうか。中学受験を切り抜けた学生は、中学入学早々に大学受験を視野に入れた勉強を始めます。大学4年間のために中高6年間しっかり準備をして大学に入学した学生が、社会人生活40年間のための準備をせいぜい数ヶ月しかしないというのは、僕には非常に不合理に感じます。


 大学一年生から就職を意識した活動をすることを、僕は強く推奨します。これは例えば「自己分析」だとか「業界研究」だとか「セミナー出席」というような、狭い意味での「就活」ではなく、社会や経済、企業に関心を持ち、自分がどのように将来過ごしたいのかについて考察することです。そのためには、まず日経新聞やインターネットを通してニュースをチェックする習慣をつけることや、社会人の方と意識的に会いに行くことをおすすめします。世の中にはどのような職業があって、彼らがどのような生活を送っているのか、できるだけ実際に話を聞くことで学び、自分のキャリアに関する視野を広げてください。以下の本はこのテーマに関する良書で、僕も書評しました。是非買ってください。

<就活>廃止論 (PHP新書)

<就活>廃止論 (PHP新書)


 また、なんとなく資格の勉強(公務員、司法試験、公認会計士)を始めたり、大学院に進学することを決める学生は少なくなりません(多くの場合、学生の親が最近の事情を知らずに資格取得や院進学を薦めた結果だったりする)が、こういう場合も知らず知らずのうちに、不十分な情報に従って重要な決断をしている場合があるので気をつけてください。資格勉強をするのは勿論よいことだと思いますが、例えば公認会計士の勉強をするのであれば、公認会計士がどのような仕事を日々しているか、給料はどれくらいか、就職先やキャリアステップにはどのようなパターンがあるのかを知り、少なくとも2人位の実際に働いている会計士(資格予備校の人ではなく)に話を聞いてから勉強を始めるべきだと思います。ネットでもちょっと検索すれば以下のような情報は見つかりますし。

http://www.j-cast.com/2010/03/01060893.html
http://www.geocities.jp/cpattedou/CPAMAYOI.html

自分のキャリアを選ぶ上で大切なことは、誰も教えてくれません。自分で手と足を動かすエネルギーの有無によって、大学生活やその後の人生は全く異なったものになると、僕は考えています。<参考>

日本の産業を巡る現状と課題-経産省
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100225a06j.pdf
最近ネットで話題になっていたもの。将来について考えるための前提として、日本の現状について理解するための、すごく良いレポートだと思います。


○各種補助を有効活用しよう

大学の授業料は高いです。比較的安い国立大学でも年間50万円強なので、週に1万円以上の授業料を払っている計算になります。それだけのお金を払うに値するだけ、大学を有効活用できている人がどれだけいるのかは、自分を含めてなかなか疑問です。大学の資源(授業、大学図書館、各種施設やサービス等)は最大限利用しましょう。


家庭にあまりお金がないという人は、学生支援機構の奨学金を借りるのはもちろんですが、

●民間の奨学金

●大学の学費免除

この二つを必ずチェックしてみてください。民間の奨学金は大学掲示板に張り出してありますし、学費免除は大学の事務に行けば詳しい書類が貰えます。僕のようにあまりお金の余裕がない家庭の場合、年間数十万円が浮く可能性があります(もちろん、それなりの成績を維持することが求められますが)。ちなみに僕の場合、

学費全額免除+月4.5万貸与の学生支援機構奨学金+月3.5万給付の民間奨学金

で、だいぶ助けられています。学生支援機構の方は家の生活費になってます。



<あとがき>

僕の立場から後輩に言いたいことは大体全て言いつくしたと思います。なにか分からないことや相談があれば、気軽にメール(プロフィール欄にメアドあり)やtwitter、コメント欄などで相談してください。はてなブックマークトラックバック、またブログやtwitterで広めてくれるのも(無断で構いません)随時歓迎しています。


大学生になると、高校以前に比べて、自分で考え行動することがぐっと増えると思います。そして、基本的にその責任は自分で取ることになるでしょう。その点で、勉強だけでなく、行動においても考え方の根本的な変更が必要です。記事を読み終わったらぜひ、実際に動き始めてみてください。。みなさんの楽しい人生と世界の未来が、これからの主体的な行動と選択にかかっています。


Good Luck!(´・ω・)





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