気の早い人のための夏インターン対策 ES編

この間の夏インターン記事に続けて、そろそろ就活を意識し始める気の早い新3年生(2012年卒)に向けて、僕がES(エントリーシート)を書くときに気をつけていたポイントをご紹介しようと思います(´・ω・)


ただし、僕自身は巷で売っている「ESの書き方」「内定なんとか ES編」のような本を読んだことがないので、完全に自己流です。おそらく、ブログを書くときに使っているのと全く同じ作文技術を使っているはず。参考にして書いて落ちたらごめんなさい。それでも、インターンと本選考合わせて30回位ESを出して、落ちたことは2回(ともに日系シンクタンクの夏インターン)しかないので、多分少なくとも外資系企業に関しては就活のESに独特のルールがあるわけではなく、正統派の作文をすれば十分通るのでしょう。


僕が気をつけているのは以下の5点です。非常に簡潔。順番に説明していきますね。


・結論を最初に言う
・質問に、質問だけに答える
・会社のことでなく、自分のことを書く
・最大限差別化できる内容を書く
・文章にこだわる


結論を最初に言う

文章を書く上で、常に意識しなければいけないことが一つあります。それは、あなたの文章の結論や構造について、あなたは既に知っているが、読み手はそれを知らずに頭から読んでいるということです。例えば、書き終わった文章をあなたが見直しているとしましょう。文章の最初で例え前置きや前提の提示が長々と続いても、あなたは既に文章の結論を知っていますから、その記述の全体に占める位置や意味合いがわかっています。しかしその文章を知らない読者に読ませたら、読者はその前起きや前提部分だけを読んで、全体に占める位置や意味合いを予測・頭に置いて読まなければなりません。これは非常に労力のいることですから、それが現代文の試験でもない限りは読み飛ばされてしまうことでしょう。何百枚も学生の面白くない文章を読まされて疲れているESの採点官も、きっとその読者と一緒です。


人に見せる文章を書く時の原則は、読み手がその文章に強い興味を持っているか定かでない場合、必ず結論を最初に言うことだと僕は考えています。「あなたの理想の将来像について書いてください」と言われた時、「私は理想としている将来像は●●です。理由は2つあります…」と書き始めれば、読み手は次にどのような話が来るのか予測して準備できるので、ストレスなく文章を読むことができます。そこを「私は中学生の頃に山で遭難して…」と書かれたら、相当面白くない限りストレスがたまるでしょう。斜め上の解答を公然と求めてくる変な企業でなければ、無個性ながら読みやすい前者の書き出しがよいと思います。


質問に、質問だけに答える

友人のESを添削している時、質問形式の問いが与えられているのに、答えと全然関係のない自己アピールを挿入しているように見える個所がありました。これはやめたほうが良いと思います(質問の答えと論理的につながりのあるものならいいけど)。聞かれたことと関係のない記述は読み飛ばされるので時間の無駄ですし、「聞かれたことにもきちんと答えられない人」と思われたら、倍率の高いESでは確実に落ちるでしょう。


また、「色々と書いているが、結局質問に対する答えがどこに書かれているのかよくわからない」というのもよくあるミスです(特に、時間がなくて、文章の構成を決めないまま書き始めるとそういうことになりがち)。こういうミスを防ぐためにも、結論は最初に一文で書きましょう。


会社のことでなく、自分のことを書く

文章の中に


「21世紀はアジアの世紀と言われ」
「貴社が積極的に他社との提携を図り、他社を蹴落とすのではなく共存していこう、自社が利益をあげる事だけでなくお客様によりよいシステムを提供する事も重視しよう、という方針のもとビジネスを展開しておられる事から」
「●●のグローバル戦略では、新興国に市場をもつ圧倒的な潜在力を意識し、アジア企業と海外ハイパフォーマンス企業500社の比較分析を踏まえて、世界で生き残るために乗り越えるべき課題を示されていますが」

といった、「見聞きした事実の再確認」を入れるのはあまりおすすめしません。必要な場合も最小限にしましょう。事実を再確認しても、会社が知りたがっている「『あなたは』その事実についてどう思うか、どう分析するか」に関しての情報が増えないためです。そこを削って可能な限り伝聞でない自分の考えを詰め込むのが、密度の高い優れたESを作るためのポイントだと思います。


最大限差別化できる内容を書く

テニスサークルに所属している人よりも、アカペラサークルに所属している人の方が少ないことでしょう。家庭教師をしている人よりも、夜の街で働いている人の方が少ないことでしょう。何か自分の経験について書くときには、「自分が書けることの中で、できるだけ他の人と被らなそうな経験」を意識して選んでください。そりゃぁ何千枚もあったら多少被るのは当然仕方がないですが、他の人と大量に被ってしまうと、ESを見る人の心境としては「それはもう今日20回は聞いたよ…」となってしまいますし、同じことを高い質で書いている人と比べられてしまうので不利だと考えられます。何百人ものテニサーの部長、ゼミ幹、家庭教師、バックパッカーの文章を読まなければならない彼らの気持ちを考えて、「文体はシンプル&スタンダードで、内容はユニークで」を心がけましょう。


文章にこだわる

書き終わった文章は必ず2〜3回、頭から終わりまで論理を追いかけながら音読して、

・誤字脱字がないか
・主語と述語の関係がおかしくなってないか
・形容詞の修飾関係は明確か
・何通りにも解釈できるような文章になってないか
・敬語の使い方を間違っていないか
・口語的になりすぎていないか、逆に堅すぎる敬語が混じって浮いていないか
・論理の飛躍はないか、知らず知らずのうちに変な前提を置いていないか

などをチェックして下さい。日本語は主語無しでも構成できる上に、書き手自身は主語がわかっているためか、主語を省いた文章を多用する人もいるようですが、可能な限り主語をきっちり書いた方がわかりやすい文章になると思います。その他、一文中に二度も三度も接続詞が出てくるなど、長すぎる文章もできるだけ分割しましょう。三文連続「〜と思います。」で終わったり、日本語としてきれいでないのも個人的には嫌だったので避けました。このような面がどこまで細かく見られているかはわかりませんが、僕個人は「社会人になってクライアントに見せても恥ずかしくない程度にきれいな日本語」と心がけてました。実際にはわりと恥ずかしいものを出していたことでしょう。


おまけ:おすすめの書籍

ESを書く上で、参考になる/なったと僕が感じる本をご紹介します。


考える技術・書く技術

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

色々なところで既に紹介されていますね。人にわかりやすく伝えるための文章を書くテキストとしては、やはりこれがよいと思います。最終的には買って全部読んでほしいですが、ESを書くにあたってはとりあえず1-3章、5-7章、11章(全体の半分位)を読めばよいでしょう。

読み手を引きつけ続ける確実な方法は、ただひとつ、読み手が抱く疑問を見抜き、その疑問にずばり答えていくことです。

言葉の認識、考えと考えとの間の関連性の理解に関して言えば、読み手の負担が軽くなるように書き手側で工夫することで、読み手のエネルギーはかなり節約できます。逆に、読み手が文章の間を行ったり来たりしてその関連を探らねばならないとすれば、それははっきり言ってまずいやり方です。ほとんどの読み手はそんなことをしてくれません。

とにかく、すべての文書を「いったん書き上げてみる」というやり方は絶対にやめてください。たとえ、実際には自分の考えが支離滅裂にしか表現されていなくても、いったん、ワープロできれいに仕上がったものをみると、ついそれを気にいってしまうからです。


知的複眼思考法

文章を書くための本と言うよりはクリティカルシンキングの本ですが、内容が基本的ながらしっかりしているのと、以下の「禁止語のすすめ」というエッセイ(一部抜粋)が好きなのでご紹介します。余力があったら読んでみてください。

学生たちと議論していると、しばしば、抽象的な概念をこなれないまま使っている例に出会う。「構造」とか、「個性」とか、「人間形成」とか「権力」といったビッグワード(概念)が典型的な例である。…(中略)…その結果、こうしたキーワードは、容易にマジックワード(魔法のことば)に変わる。つまり、魔法の呪文のように、人々の考えを止めてしまう魔力を持っているのだ。

そうしたマジックワードをあえて使わずに議論をしようとするだけで、概念のひとり歩きを止めて考えることが可能になるのである。

僕の場合は、ある時期から「キャリア」「社会貢献」「成長」「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」といった言葉を執拗に避けていました。それらは全て借り物の言葉であって、自分が徹底的に考えた時にハラから出てくる言葉ではないと感じたからです。全ての人が僕のような場合にあてはまるとは思いませんが、少なくとも、言葉の意味について深く突っ込まれた時に、具体的に説明できないような言葉は使わない方がよいでしょう。



次回は筆記について書こうと思ったけど、筆記って書くことないなぁ…就活ってESと面接だと思うんです。筆記とGDはゲーム(´・ω・)

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