ちょっとした発表を改善する3つの基本

学生やってると、ゼミで課題を発表する時とか、ちょっとしたプレゼンをする時とか、10分〜20分間の発表をする機会は多いと思います。今日は、これを心得ると発表がぐっとよくなる!とKanedoが個人的に思うポイントを3つ程あげたいと思うので、発表慣れしてないのにゼミなどで発表が回ってきて苦戦してる人などは参考にどうぞ(´・ω・)

(´・ω・)発表に大切な3つのポイント(´・ω・)
①聞き手の立場に自分を置いてみて、聞き手を楽しませることを真剣に考える
②分量にして10発表しようと思ったら、40から50は調べる
③結論と発表の論理展開を、一番最初に言う


①聞き手の立場に自分を置いてみて、聞き手を楽しませることを真剣に考える
学生の7割くらい(Kanedoも多分時々含まれる)は、端的に言うとくそみたいな発表をします。例えば、あなたが誰かの発表を聞いているところを想像してください。発表者はうつむきながら、課題の要点が箇条書きされたレジュメをぼそぼそ音読しています。あなたはおそらく苛立ちと眠気と、「そんなの読んだから知ってるよ…」「わざわざ読みあげなくても書いてあるじゃん…」「早く終わらないかなぁ…」という思いを抱いていることでしょう。人にされて嫌なことを自分が避けるべきか否かは場合によりますが、少なくとも人にされていやな発表は自分もしてはいけません。

発表にとって大事なのは、まず聞いてもらえることです。どういう発表が嫌かを自覚した後は、自分ならどういう発表を聞けば楽しめるかを考えてください。レジュメに構成が最低限しっかりと書かれながらも、周辺知識や具体例をどんどん補足してくれる発表でしょうか。聞き手に質問を振ったり意見を求めながら進む発表でしょうか。どんな形を選ぶにせよ大切なのは、目の前にいる聞き手を強く意識することです。レジュメを見ながらぼそぼそ話すのでなく、立ちあがって聞き手の方を見て声を張って発表しましょう。これが聞き手を引きこむ大原則です。優れた塾講師はこうした技術のプロフェッショナルなので、自分が好きだった教師をいいとこどりで組み合わせて真似てみるとよいでしょう。優れたマーケティング担当者が常に「顧客が何を欲しているか」に立脚して考えるのと同様、発表を準備する時には常に聞き手の立場に立つことです。


②分量にして10発表しようと思ったら、40から50は調べる
発表している時は、発表内容についてにわかでもいいから専門家になりましょう。例えば課題図書の100ページから120ページまで、というタイプの発表だったら、その部分について疑問が残らなくなるまで読み込むのはもちろんのこと、発表範囲をわかりやすいフレームワークにまとめた後で、本文と関係する周辺知識を本など読み漁ってかき集め、掘り下げてください。10調べて10発表するような方法では、自分より詳しい人の前でやるとすぐにボロがでます。ボロが出ないようにするには体感ですが40か50は調べる必要があるでしょう。

応用範囲の広い掘り下げ方を、なにか例をあげて考えてみましょう。例えば「インドが1990年代初頭に経済の大規模な自由化を行い、その結果産業が発展した」という記事について発表するとします。まず、自由化を行った契機について調べると、その時期にインドが対外債務不履行寸前に陥り、IMFから改革を条件に融資を受けたことが発覚します。ここで終わってしまう発表が多いですが、債務不履行になった理由を調べれば、湾岸戦争でまず中東の出稼ぎ労働者が戻ってこざるを得なくなって送金が減少(輸出額↓)し、かつ原油価格が上昇して純輸入の2〜3割を占める石油関連が値上げされ(輸入額↑)、もともと赤字だった経常収支バランスが悪化したことが発覚します。これは直接的な原因ですが、さらに間接的原因として、規制の強い「許認可王国」の弊害から経済が停滞、政治に改革を求める圧力がかかっていたことに気付けば、インドの改革は単にIMFから押し付けられたのではなく、当時の政策ニーズを政府がくみ取った結果でもあることがわかるでしょう。このインドの例と他にIMF融資を受けた国の例を比べれば、自由化政策を一方的に押しつけるだけではダメで、融資を受ける国の側に改革を受け入れる準備が整っていないと成功は難しいというインプリケーションが得られるかもしれません。さらに規制が強かった80年代以前について、「なぜ規制が強かったのだろう?」と考える際には歴史的な視点が役立ちます。19世紀半ばから1947年までインドはイギリスの植民地であり、産業革命を経験したイギリスから入ってくる綿製品によって国内の伝統的な綿工業が壊滅した苦い経験を持ちます。独立の理念の中には、外国に頼らない自給経済を目指す=輸入や外資を規制する、という種類のものがあったと考えて不自然ではありません。ここで書いたことは、最初以外すべて追加的な調査(原因のさらに原因を考える、似た事例と比較する、歴史的/文化的側面から問題を見る)によって得られた情報です。ここまで調べることで、本編の発表がより生きるのです。

注意点としては、40から50調べたものをそのまま40から50の量で発表してはいけません。中身の濃い発表にするには、調べた情報から重要なものだけを取捨選択して10に絞り込む作業が不可欠です(それでいて、質問されればすぐに答えられるし、レジュメに書いていない枝葉情報を必要ならどんどん口で追加できるという状態が面白い発表のために望ましい)。発表全体を貫き、木の幹の役割を果たす1つのシナリオ、あるいはフレームワークを作り、それに持っている情報をあてはめていく方法が情報収集(幹を中心に放射状に調べることで、費用対効果の高い調べ方をする)と選択(最も話したい事を補足する情報だけを幹周辺に残す)に役立ちます。


③結論と発表の論理展開を、一番最初に言う
あなたは調べた本人ですから、自分がどういう順番で発表内容を話していくかをよく知っているはずですが、聞き手からすればそれがわかりません。あなたが最初に前提などを長々話して最後に結論、という順番を取ると、聞き手は「この人は何を言うために今の内容に触れているのだろう?最終的には何が言いたいのだろう?」とずっと考えなければいけません。まぁ大体の聞き手はそんな労力のいることはしてくれず、寝るかぼーっとするでしょう。それは聞き手が怠慢なのではなく、あなたの発表が不親切です。

あなたの発表が、A→B→C→D(結論)という形を取るのであれば、あなたが発表する時には、D→「A→B→C→Dという順に説明しますという前置き」→A→B→C→Dという形をとるのが望ましいです(細部は違ってもいいですが、発表の流れ+結論→本編→結論という形は死守)。これで聞き手は余分な労力を使わずに済み、浮いた分の労力を話の内容や論理展開そのものに集中するために使ってくれます。まともな聞き手の人数が倍に増えるでしょう。


Kanedoが意識していることは他にもいくつかありますが、この3つが決定的に重要だと考えていますので、一つでも自分に欠けていた視点があったらぜひ導入してみてください。お役にたてれば幸いです(´・ω・)