ゼロサムゲームではない
ゼロサムゲーム(一方が勝てば一方が負け、勝ち負けを足すとゼロになるゲーム)でないものをゼロサムゲームと誤解することは、本来得られた利益を視野の狭さゆえに失ってしまうとても損なことです。色々な領域についてそれが言えます(´・ω・`)
ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫
- 作者: B・J・ネイルバフ,A・M・ブランデンバーガー,嶋津祐一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/12/02
- メディア: 文庫
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- 作者: ロジャーフィッシャー,ウィリアムユーリー,金山宣夫,浅井和子
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 1989/12/19
- メディア: 文庫
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- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,山口博
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/31
- メディア: 単行本
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今日この日記を書いた理由は、今しがた読み終わった最後の本を推薦したいからであり、前の二冊を持ち出したのは、我々がゼロサムゲームとしてプレイしがちな意見の対立を、豊富な具体例を示しながらプラスサムゲームに変えて見せたデールカーネギーの手腕に敬服したからです。しかし、この本の内容を生かすためには、ゼロサムゲームとしての真正面議論をする力があるという大前提が必要だと思います(´・ω・`)
著者は「議論してはいけない。相手の言い分を聞きなさい」と言っていますが、これと「議論を避ける日本的妥協」には天と地ほどの差があります。この本を読んで、やはり人を動かすには日本人的なやり方が正しいのだなぁと納得する日本人がいたとしたら、大変な誤読をしていると僕は感じます。日本的妥協は、「まぁまぁ、あいつは子どもなんだから、ここはこっちが大人になって折れてやろう」というもので、相手のプラスを自分のマイナスで埋め合わせるゼロサムゲームです。意見が議論によって研磨されない分、意見正面衝突の議論よりもタチが悪い(´・ω・`)
対してデールカーネギーの勧める人を動かす法は、相手の「認められたい願望」を満足させるうことで、感情的対立を避けつつも自分の意見を通したり、相手に自らこっちの言い分を認めたい気持ちにさせたりする巧みな技術です。健康的な権謀術数と言ってもいいでしょう。解説する言葉の節々にそういうニュアンスが含まれています。通常の議論や権謀術数を超え、自分の言い分を通してこちらはプラス、向こうも心情的に満足してプラスのプラスサムゲームを目指す試みです。本の中に盛り込まれた様々な具体例は、全て最終的にお互い気持よく対立を終えつつも相談者が自分の言い分を通しています。芸術的ですらある(´・ω・`)
というわけでこの本は、僕のように元来議論大好き、理詰めで相手を打ち負かすのが大好き、権謀術数大好きな人にこそ読んでほしい。そういう人が本書の内容を使いこなせるようになれば、本人も関わる人もより一層幸せになれるでしょう(´・ω・`)