自分の変な将来像を考察

俺が現在就職先として志向している業界は、外資系の投資銀行やコンサルである。


俺が将来したい生き方としては、借り家でもいいからそこそこの所に住んで、おいしいもの食べて、女の子といちゃいちゃして、そんな感じでおもしろおかしく暮らせれば満足である。猫になりたいなぁ。


あれ、なんか矛盾してね?


俺の志望先はどっちかと言えば、安定とは遠い世界、運と実力のあるものだけが生き残って大きなリターンを得るレッドオーシャンだ。野心と欲望にあふれる学生が殺到しそうなこの業界に、上のようなのんびりアウトロー生活が理想の俺がどうして行きたいのだろう。「よくわかんないけど、なんかかっこいいから」というわけでもなく、案外泥臭い仕事内容とその激務っぷり、理不尽さ等についても調べ、経験者の話を聞いた上でやっぱり行きたいと思う。目的(将来したい生き方)を達するために仕事という手段があるなら、官僚にでもなるのが合理的と思われるのに、どうしてだろうか。自分で自分がわからなかったのでちょっと考えてみた。


そして思い当たったのが、安定や退屈が何より嫌いな自分の性質だ。退屈をしのぐためなら、他から抜きんでるべく猛烈に勉強し、失業のリスクを取りながらレッドオーシャンを渡り歩くくらい全然OK。きっと頭がおかしい。物欲が少なめで生活に求める最低水準がそう高くないし、人の評判も気にならない、つまり身軽でリスクを取りやすいのもあるだろう。俺のインセンティブは金以外の部分にあった。そんな理由で…と思われるから面接では口にしないが、「単なる趣味」でコミットする優秀な人間は、情熱を傾けてコミットする凡庸な人間よりはるかに使えるし信用できることを俺は知っている。俺自身がそうした優秀な人間なのかは、向こうが決めてくれればよい。


もっと大きいリスクを取る手として起業があるが、今のところはやりたいことが事業として打ち出せるほど具体的には定まってないのでする気にならない。企業は新卒から数年については生産性よりも明らかに高い給料を払ってくれる上にスキルを得る機会を提供してくれるし、クビにならない限りはリスクを肩代わりしてくれる。したいことも決まらないまま、新卒という(こと日本においては大きな)機会費用を支払い、多額の借金を背負う(自分の理想とする生活水準すら遠ざかってしまう)リスクを許容しつつ起業を志向する程の自己実現(笑)欲求はない。


外資系金融やコンサルという希望は、自分の目標、自分の許容できる生活水準、自分の性格から導き出されるバランスポイントだったのだ。一見非合理な俺の選好が、頭のおかしさを加味すると合理的だったことに一人で納得し、もやもやが晴れた。