参考にならない日系就活講座

<趣旨>

日系企業をほとんど受けてないかねどーによる、「今から就活スタートするとしたら、こうやる」日系就活シミュレーション。半年間の経験を踏まえていますが、なにせ結果に裏付けられてないので実際にやって日系就活に効果的かは責任持てません。「まだ就活はじめてないよー…何すればいいのかわからないよー…」っていう人は、とりあえず真似してみれば何もしないよりはほんの少しだけましかもしれません(´・ω・)


<本文>

やぁ。僕は大学3年生。年も明けたし、夢でインテリすもうとりに「そろそろ就活をはじめなさいタコが」って言われたんだけど、何をすればいいのかさっぱり決めてないや。(´・ω・)

※小説形式にするのは、痛々しい上面倒になったのでここでやめる

とりあえず、どんな業界があるかが良くわからないので、多くの業界について薄く広く網羅しているような本を買います。

日経業界地図 2010年版

日経業界地図 2010年版

買った本をパラパラ眺めながら、「自分はどういう人生が送りたいかなぁ」という深淵な問いについて考え始めます。といっても未来のことなんてわかりませんし、立てられる方針は「バリバリ働いてたくさん稼ぎたい」か「そこまで稼げなくてもいいのでのんびりやりたい」かという程度の精度かもしれませんが、とりあえずそれでOKだと思います。


方針が固まったら、就活を早い時期から始めている私大の友達か誰かに、こういう働き方がしたいならどこがよさそうかと聞いてみましょう。ただし、彼もいい加減な情報しか持っていませんので、できるだけ多くの人に聞いた情報を統合するのが得策です。上級生や社会人に親しい知り合いがいるなら、彼らにも聞いてみるのがベター。後発の就活生はセミナー回りをしている時間がないので、まずは少ない時間で全体感を掴めるだけの情報を効率よく集めましょう。この辺までは1〜2日でできるはず。


集まってきた情報に従って、もう少し深掘りして知りたい業界をいくつか決めましょう。どうせ調べていけば志望業界は変わっていくと思いますので、ここで受ける業界まで絞り込む必要はありません。知識のない状態でうじうじ考えるよりは、とりあえず手足を動かした方が後の視野も広がるでしょう。


ここで先に一つ言っておきたいのですが、「名前をよく聞く企業=いい企業」と思ってはいけません。我々学生が普段CMなどで目にするのは、ほとんどがBtoC(企業対消費者)のビジネスを行っている企業だと思いますが、経済取引の大半はBtoB(企業対企業)です。我々がまだ知らない、BtoBのビジネスを行っている企業にも、一流の企業はたくさんあります。また、規模が小さく一般には無名でも高い技術力等によって他の企業と差別化し、世界中で高収益をあげている優良企業がある一方、誰でも知っている有名大企業が競争の激しい業界環境で収益性の低いビジネスをしているということもしばしばあります。


さて、あなたが何らかの業界についてもっと調べてみたいと思ったとします。(動機は何でもOK。なんか鉄鋼とか非鉄金属ってカッコイイ気がするから素材業界とかでいい)。次に調べるべきは、以下の二点です。


その業界にはどんな企業があるか

先程あげたような業界を網羅した就活雑誌(上の本は買って結局ほとんど使いませんでしたが、業界の規模や主要企業の売上も載っているのでオススメ)や、下の就職偏差値ランキングサイト(ただし偏差値はあてにならない。企業リストとして使える)が役立つと思います。僕だったら、いくつかの企業の名前を把握した後は大学図書館に行って、日経テレコン(日経の過去記事が検索できる)で企業名を検索、記事を印刷して業界動向を掴むのに使います。日経は業界背景とかについても(いつも正確とは限りませんが)記事内できちんとフォローしてくれるのでおすすめ。

http://jobranking.sakura.ne.jp/


その業界ではどんなビジネスが行われているか

中心となるのは、「何を仕入れて、どこの誰に、何をどう売っているのか?将来のチャンスやリスクはどういう所にある?」です。例えば素材業界だったら、かねどーは素材業界のことをよく知りませんが、ぱっと思いつくだけでも、

・業界として儲かる業界なのか(営業利益率は?ROAは?)

・傾向として、現金が豊富な業界か、それとも土地や工場等の固定資産が多い業界か。自己資本比率はどうか

・寡占(少数企業がマーケットの大半を占める)業界か、小企業が多数存在する業界か。それはなぜなのか(寡占なら、規模の経済が働くため?規制や特許?)

・原料鉱石は自分の会社で鉱山を持っているのか(自前で持っていない場合、原材料の国際価格の上下に強く影響を受ける)。為替相場の変動から企業収益がどう影響を受けるのか

・主に誰が製品を買っているのか(建設業界?自動車?機械?)。それらの顧客は、景気変動の影響を受けやすいのか

・売上に占める海外比率はどうか(内需依存型?アジア/アメリカ/欧州どこに強い?)

・企業ごとに扱っている製品や取引相手に特徴はあるのか

・どんな規制があるか。それらは今後変わっていきそうか(特にインフラ系や金融では重要)

と言ったあたりはとても気になります。そしてこうした疑問の多くは、特定業界についてもう少し詳しく書いてある本(時間が許せば就活向けのやつだけでなく、その業界で何十年も働いている人がビジネスマン向けに書いた本や、経済/経営学者が一般向けに書いた本も役立つでしょう)、企業のwebサイトや財務諸表を見ることで解決します。


さて、調べても分からない質問や、実際日々行っている業務の内容について、分からないことが10個も20個もあると思いますので、それを持ってOB訪問や企業説明会に向かいましょう。説明会ならよく知らない状態で行っても丁寧な説明をしてくれると思いますが、OBの方に貴重な時間を割いてもらうというのに、業界について全然知らない、質問も用意してないというのは、失礼ですし恥です。準備ができたら、大学の就職支援課に行ってOBの名簿を借り、


「こんにちは。●●様のお電話番号でよろしいでしょうか?私は〜大学の○○と申します。現在就職活動中で、素材業界への就職を志望しております。もしよろしければ、●●様のお時間がある時に、業界のことですとか、普段の生活のことについてお話をお聞かせ頂ければと思うのですが、いかがでしょうか?(適宜相槌を聞きつつ)」


みたいな感じに電話でアポを取って、1業界につき最低2〜3人と会い、自分の疑問点をじっくり解消していきましょう。こうした業界についての包括的な理解や疑問の解消は、後々企業の面接を受ける際に役立ちます。かねどーは誰かの話を聞いたり面接を受ける際、「必ず『鋭い質問』を10個は持っていく」と決めて実行していました。(当然全部使うわけではなく、特に重要そうなものや話の流れの中で出たものだけ使います。あと今度記事にする予定ですが、「鋭い質問」と「急所を突く(答えに詰まる)質問」は違うので注意)


ここまでやるのに、同時並行で3業界位やったとして1〜2週間位でしょうか。これだけちゃんとやれば、調べた業界に属する企業のESは、自分の強みや経験みたいな自己分析に属する部分を除けばスラスラ書けます。興味と体力が続く限り、色々な業界についてこの作業を繰り返してください。業界構造やトレンドから日々の実務、人の雰囲気まで大まかに把握している業界の数が増えれば、採用面接で「数ある業界、企業の中から何故自分がこの企業に行きたいのか」をロジカルに説明するのが容易になると思います。そしてこれは、面接で必ず聞かれる質問であり、最も重要な質問の一つです。面接やGDは業界を問わず、こうした基礎知識の他に経験がだいぶモノを言うので、沢山エントリーして(できればインターンとかにも)経験を積んでください。


細かい選考は業界によって全然違うと思うしテクニカルな部分も絡んでくるので、とりあえず今日は一般論としてこのへんまで。かねどーが「つよくてニューゲーム」をするとしたらこんな感じです。ちなみにこれをやってる間、学業はほぼ完全無視。無視するかは個人の志向(断じて大学の厳しさ等を言い訳にすべきではない。それを踏まえた上で自分がどうしたいかが重要)に任せますが、その意思決定際には「小学校・塾・中学校・塾・高校・塾・大学と何千万にものぼる教育投資をしてきた結果が、数か月の就活を経て新卒でどこに入るかで相当程度決まる(単位半年、就活一生)」という、労働市場が歪んだ日本の怖い現実は踏まえておくべきでしょう(´・ω・)